研究計画・方法
2015年
2015年度は,家庭教育・子育て支援を中心に,近接領域である幼児教育や保育等にまで範囲を広げ先行研究分析を行うことで,本研究における課題を整理・明確化し,共同研究者間での共有を図る。加えて,先行研究から得た知見等をもとに,幼児の保護者を対象とした質問紙調査の準備に着手する。
後半期には,次年度に「地域家庭教育支援」の実践分析対象となる保育所・学童保育所,子育て支援事業に就園もしくは参加する乳幼児の子どもを持つ保護者を対象に,子育てにおける生活実態と発達資産に関する質問紙調査を実施する。
また,質問紙調査と並行して,これまで生活体験に取り組んできた実践分析対象の保育所等を訪問し,調査主旨の説明・了解の上で,実践観察ならびにヒアリングを定期的に行うことで,次年度の本調査に向けた予備調査を実施する。
これらの内容については,学会発表はもとより研究会を定期的に設け,報告することで,共同研究者以外の研究者・実践者からも広く意見を得るとともに,成果の報告・共有を図る。
2016年
2016年度の研究計画としては,まず前年度に実施した質問紙調査について統計的分析を行い,乳幼児や子育て中の親に発達資産としての生活体験がどのように関連・蓄積・収奪・欠損しているかを把握するとともに,結果をまとめ,学会報告に臨む予定である。
後半期には,質問紙調査や予備調査の結果を踏まえ,観察ならびにヒアリング項目を精査の上,実践分析の第2次調査を行う。これらの実践分析においては,質的調査法を用いるため,収集した事例データの整理を適宜,行っていく。また,実践分析対象の地域調査を行い,子育て・家庭教育・福祉等における地域の歴史的変遷や地域課題,そして自治体の取り組みについても担当者へのヒアリングや関連資料の収集・分析を行う。
加えて,共同研究者だけでなく,協力を仰ぐ日本生活体験学習学会の学会員や保育・子育て等の実践者といった当該研究に関心を有する研究者等にも呼びかけ,定期的な研究会を開催することで,多面的視点からの研究の深化を図る。
2017年
最終年度となる2017年度は,これまでの研究成果の総括ならびに報告に注力する計画である。特に,1年次・2年次に行った実践分析ならびに自治体分析調査の総括的な報告を行い,子どもの発達と親の学びを育む発達資産としての生活体験の意義と,学びを支える「地域家庭教育支援」という新たな家庭教育・子育ての提起を行う。
また,これまで蓄積してきた研究成果の報告資料,その他の調査結果等をまとめた成果報告書を作成し,調査関係者や研究者等に送付する。また,成果報告書をもとに,①実践分析調査に協力いただいた保育所・自治体と連携した保護者や保育者・子育て支援関係者を対象とした成果報告会と②関心を持つ近接領域の研究者はもちろん実践者や教員,行政関係者等を主たる対象とした学会等での成果報告会を兼ねた公開シンポジウムの2つを公開する。この中では,単に研究成果の報告にとどまらず,外部講師を招聘し,本研究での成果と課題,そして,今後の展開について総括的な討議を行う。これらの研究成果の報告の機会によって,社会に広く公開するだけにとどまらず,次なる研究の発展にむけた実践の連関・協働を生み出す契機としたい。